二重符号化:図とことばで記憶に残す
すん
2026-07-29 公開
目次
ノートを文字だけで埋めていませんか。学習科学では、ことばと図を組み合わせると記憶に残りやすくなることが広く知られています。これを「二重符号化(dual coding)」と呼びます。文字情報だけに頼るより、視覚的なイメージを同時に使うことで、記憶の手がかりが増えるためです。
この記事で分かること:
- 二重符号化の基本的な考え方と、なぜ効果があるとされるのか
- ノートや学習に図解を組み込む具体的なやり方
- やりすぎ・装飾過多が逆効果になる理由と注意点
二重符号化とはどういう考え方か
二重符号化とは、情報を「ことば(言語)」と「イメージ(視覚)」の両方で処理・保存すると、どちらか一方だけで学ぶよりも記憶に残りやすいという考え方です。言語の記憶経路と視覚の記憶経路が別々に存在するため、両方を使うと思い出すときの手がかりが増えます。
例えば、光合成のしくみを文章だけで読むより、矢印や枠を使った関係図と文章を一緒に学んだ方が、後から「あの図の左側に書いてあった」という形で思い出しやすくなることがあります。
図解をノートに取り入れる具体的な方法
二重符号化を実践するには、視覚的な要素を学習に組み込むだけです。難しいイラストを描く必要はありません。
関係図・矢印図を使う
概念同士の関係を矢印でつなぐだけでも視覚的な記憶になります。歴史の因果関係、生物の物質の流れ、英文法の構造など、「何が何に影響するか」を矢印で図示する習慣をつけましょう。
表・マトリクスで対比する
比較が必要な内容(例:細胞分裂の種類の違い、品詞の用法の違い)は、2列や4マスの表にまとめると構造が見えやすくなります。文章で羅列するより、違いが視覚的に際立ちます。
読んだ後に自分で図を書く
教科書の図をそのままコピーするより、テキストを閉じて自分で思い出しながら図を再現する方が学習効果は高まります。再現できなかった部分が理解の穴になります。
授業・参考書ごとの使い方
科目によって取り入れやすい視覚化の形が異なります。
- 理科・数学:反応の流れ、グラフの形、証明の構造をラフに図示する
- 社会(歴史・地理):時系列の流れ図、地図上の位置と出来事の対応メモ
- 英語:文の構造(SVO等)を括弧や下線で視覚的に分解する
- 国語・現代文:段落ごとの論理の流れを図にまとめる
いずれも「きれいな図」を目指す必要はありません。自分が後で見て意味がわかれば十分です。
デメリット・向いていない人・注意点
- 装飾に時間をかけすぎると逆効果:色ペンやイラストを凝りすぎると、「きれいなノートを作ること」が目的になってしまいます。図解はあくまで内容の理解と記憶を助ける手段です。シンプルな図で十分です。
- 図を書くだけでは記憶は定着しない:書いた図を後から想起練習に使わないと、効果は半減します。図を見ながら内容を口頭で説明する、または図を隠して再現してみる、という使い方が重要です。
- 純粋な計算力や暗記には直接関係しない:二重符号化は概念理解と記憶の手がかり作りに向いています。計算の反復練習には別の方法を組み合わせてください。
- 個人差がある:視覚的な情報処理が得意な人には特に有効ですが、言語情報の方が得意な人には図が煩わしく感じることもあります。自分に合うか試してから取り入れましょう。
よくある質問
Q1: 絵が下手でも大丈夫ですか?
A1: 問題ありません。四角や丸、矢印だけで十分機能します。見た目の美しさより、自分が内容を思い出せるかどうかが大切です。
Q2: カラーペンで色分けするのは効果的ですか?
A2: 色分けは情報を分類して視覚的な差をつけるために有効です。ただし、色が増えすぎると「何の色か」が分からなくなります。2〜3色で意味のある分類をするのが現実的です。
Q3: デジタルツール(iPad など)でやっても同じ効果がありますか?
A3: 紙か電子かより、「言語と図を同時に扱っているかどうか」が本質です。デジタルでも図解ノートを作れば同様に機能します。
Q4: 教科書の図をそのまま写すのでも効果がありますか?
A4: 写すだけでは受動的で効果は限られます。テキストを閉じて自分で再現する、あるいは写した後に図を見ながら内容を説明する、という能動的な使い方と組み合わせると効果が高まります。
Q5: マインドマップと何が違いますか?
A5: マインドマップは中心から枝分かれさせる特定の形式ですが、二重符号化はもっと広い考え方で「図とことばを組み合わせる」こと全般を指します。マインドマップも二重符号化の一形態と言えます。
Q6: どの科目から始めればいいですか?
A6: 概念の関係性が多い理科(生物・化学)や社会(歴史)が取り入れやすいです。文章だけで覚えようとしていた箇所を一つ選んで、図にしてみるところから始めてみてください。
まとめ
二重符号化は、ことばと視覚イメージの両方を使って学ぶことで、記憶の手がかりを増やす学習法です。難しいイラストは不要で、矢印や表、簡単な関係図をノートに加えるだけで実践できます。大切なのは「きれいな図を作ること」ではなく、図を後から想起練習に活かすことです。今日のノートに一つだけ関係図を書き加えてみるところから始めてみてください。
※本記事は一般的に知られている学習科学・心理学の知見をもとに整理したものです。
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すん
偏差値45→60に上げて青山学院大学に合格。自分の特性に合った勉強法を発信するブロガー
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