実行意図(if-thenプランニング)で勉強を続ける
すん
2026-07-18 公開
目次
- 実行意図とは何か
- if-thenプランの立て方
- ステップ1:「もし〇〇なら」の部分を決める(IF)
- ステップ2:「〇〇する」の部分を決める(THEN)
- ステップ3:書き出して目につく場所に貼る
- 障害が予測されるときの「対処型if-then」
- デメリット・向いていない人・注意点
- よくある質問
- Q1: if-thenプランはどのくらいの期間続ければ効果が出ますか?
- Q2: うまくいかなかった日は計画を立て直した方が良いですか?
- Q3: 目標意図とif-thenプランはどう組み合わせれば良いですか?
- Q4: 複数の科目をif-thenプランで管理できますか?
- Q5: if-thenプランは受験勉強以外にも使えますか?
- Q6: 何度試してもif-thenプランが続きません。何が間違っていますか?
- まとめ
- 関連記事
「今日こそ勉強する」と思っているのに、気づいたら夜になっていた——このような経験は「目標意図(goal intention)」だけでは行動が伴わないことを示しています。計画をより実行しやすくする方法として、心理学者のPeter Gollwitzerが提唱した「実行意図(implementation intention)」が知られています。
この記事で分かること:
- 実行意図(if-thenプランニング)とは何か
- 「いつ・どこで・何をするか」を具体化する立て方
- 挫折を減らすための実践的な工夫
実行意図とは何か
実行意図とは、「もし〇〇という状況になったら、△△という行動をする」という形で、いつ・どこで・どのように行動するかをあらかじめ決めておく計画の立て方です。英語では”if-then planning”とも呼ばれます。
心理学者のPeter Gollwitzerは、「勉強する」「運動する」のような目標意図(goal intention)だけでは実行率が不十分であり、if-then形式で具体化することで実行率が上がるという知見を示しました。これは実験的に繰り返し確認されており、学習科学・心理学の分野で広く支持されています。
目標意図との違いは次のとおりです。
- 目標意図:「今週中に英単語を100個覚える」
- 実行意図:「もし毎日夕食が終わったら、すぐに単語帳を開いて20分間単語を確認する」
後者の方が、「いつ始めるか」「どこでやるか」「何をするか」が明確なため、実際の行動に移りやすくなります。
if-thenプランの立て方
ステップ1:「もし〇〇なら」の部分を決める(IF)
行動のきっかけとなる状況を具体的に決めます。有効なきっかけの種類:
- 時間:「もし18時になったら」「もし授業が終わったら」
- 場所:「もし図書館の席に着いたら」「もし自分の机に座ったら」
- 直前の行動:「もし夕食を終えたら」「もしシャワーを浴びたら」
- 状況・感情:「もしやる気がでない日でも、5分だけは始める」
きっかけは毎日確実に起きることを選ぶと安定します。「気が向いたら」はきっかけとして弱いので避けましょう。
ステップ2:「〇〇する」の部分を決める(THEN)
行動の内容を具体的かつ小さく決めます。
- 科目・教材を指定する:「英文法テキストのP.50〜60を読む」
- 時間を決める:「25分間取り組む」
- 行動の種類を明確にする:「解く・読む・書き出す・確認する」のどれかを明示する
最初から長時間や大量の行動を設定すると、できない日が続いて習慣が途切れます。「確実にできる」と思える量から始めることが重要です。
ステップ3:書き出して目につく場所に貼る
if-thenプランは頭の中で考えるだけでなく、紙に書いて見えるところに貼ると効果が高まります。朝起きたときや机に向かうときに目に入る場所(机の前・スマホの壁紙・手帳の表紙)に貼っておきましょう。
障害が予測されるときの「対処型if-then」
勉強を妨げる障害(気が乗らない・友人から連絡が来る・疲れている)を事前に想定し、それへの対処をif-thenで決めておく方法もあります。
- 「もし疲れていて勉強したくなかったら、単語帳を1ページだけ見る」
- 「もしSNSが気になったら、スマホを引き出しの中に入れてから始める」
- 「もし予定が狂って時間が短くなったら、最低10分だけは問題を解く」
障害を想定して対処プランを持っていると、困難な状況でも行動を始めやすくなります。
デメリット・向いていない人・注意点
- プランが多すぎると管理できなくなる:if-thenプランを一度に何個も立てると、どれが重要か分からなくなります。最初は1〜2個に絞り、定着してから増やしましょう。
- きっかけが不規則な生活には向きにくい:毎日の生活リズムが大きく変わる場合、決めたトリガーが機能しないことがあります。生活リズムをある程度整えることが前提になります。
- プランを立てただけで安心してしまう:「計画した」という達成感で満足してしまう「計画の錯覚」に注意が必要です。プランは行動するための手段であり、立てることが目的ではありません。
- 強制力はない:if-thenプランは自分との約束です。外部からの強制力はないため、自己決定と継続の意欲が前提になります。プランを破った日は反省しすぎず、翌日から再開することを優先してください。
よくある質問
Q1: if-thenプランはどのくらいの期間続ければ効果が出ますか?
A1: 効果の感じ方は個人差がありますが、同じプランを数週間続けることで行動が自動化されてきます。最初の数日は意識的にプランを守ることが必要です。
Q2: うまくいかなかった日は計画を立て直した方が良いですか?
A2: 毎回修正すると計画が定まらなくなります。まずは同じプランを2週間程度試してから、うまくいかない原因を振り返って調整することをおすすめします。
Q3: 目標意図とif-thenプランはどう組み合わせれば良いですか?
A3: 大きな目標(「英語の偏差値を上げる」)を持ちつつ、具体的な行動をif-then形式で決めるという組み合わせが理想的です。目標は方向を示し、if-thenプランは実際の足を動かします。
Q4: 複数の科目をif-thenプランで管理できますか?
A4: 可能ですが、科目ごとにトリガーと行動をセットで決める必要があります。例えば「18時になったら英語を30分」「20時になったら数学を30分」のように、科目ごとにif-thenを分けて設定すると整理しやすくなります。
Q5: if-thenプランは受験勉強以外にも使えますか?
A5: はい。運動・睡眠・読書など、継続が難しいあらゆる行動の習慣化に応用できます。勉強以外でうまくいったif-thenの設計パターンを勉強にも転用するのも効果的です。
Q6: 何度試してもif-thenプランが続きません。何が間違っていますか?
A6: 行動の内容が難しすぎる・きっかけが日常の中で不安定、のどちらかであることが多いです。「机に座る」だけをTHENにするくらい小さく始め、きっかけを「夕食後」のような毎日確実なものに変えてみてください。
まとめ
実行意図(if-thenプランニング)は、「いつ・どこで・何をするか」を事前に具体化することで、行動を実行に移しやすくする方法です。難しい仕組みは必要なく、「もし〇〇なら△△する」という一文を書き出すだけから始められます。まずは今日の勉強について一つだけif-thenプランを立て、机の前に貼ってみてください。
※本記事は一般的に知られている学習科学・心理学の知見をもとに整理したものです。
関連記事
Photo by Nubelson Fernandes on Unsplash
すん
偏差値45→60に上げて青山学院大学に合格。自分の特性に合った勉強法を発信するブロガー
関連記事
勉強法 分散学習(スペーシング効果)で記憶を長期定着させる方法
一夜漬けより分散学習が長期記憶に有利な理由を解説。エビングハウスの忘却曲線をもとに、復習間隔の広げ方・科目別の回し方を具体的に紹介します。
勉強法
勉強法 偏差値を上げる方法と大学受験対策のポイント
大学受験を目指す高校生必見!模試での偏差値を効率よく引き上げる具体的な勉強法と生活習慣を解説します。基礎固めから実践まで、成功に向けたステップを紹介。